本コラムでは、日本の金融市場における「短期」と「長期」について、初心者にもわかりやすくご紹介いたします。
本コラムを通じて、金融市場や金利の基本的な仕組みを理解し、相続や資産運用の計画に役立てていただければと思います。
目次
- 金融市場とは?
- 金融市場の「短期」と「長期」とは?
- 短期金利と長期金利の違い
- 日本の短期金利と長期金利の代表例
- なぜ長期金利は短期金利よりも高いのか?
- 日本の金融市場の金利の変遷と国際比較
- まとめ
1. 金融市場とは?
まずは、金融市場の概要についてご説明します。
金融市場とは、お金の貸し借りが行われる場です。
例えば、個人が銀行からローンを借りたり、企業が資金調達のために社債を発行したりする際に利用されます。
日本では、金融市場がいくつかのカテゴリーに分けられていますが、最も基本的なのが「短期金融市場」と「長期金融市場」です。
2. 金融市場の「短期」と「長期」とは?
日本の金融市場は、資金の貸し借りが行われる期間によって「短期」と「長期」に分かれます。
具体的には、取引期間が1年以内のものを「短期金融市場」、それを超えるものを「長期金融市場」と呼びます。
この分け方は、金融商品や取引の目的に合わせて使い分けられます。
短期金融市場
短期金融市場では、1年以内で資金を貸し借りするため、リスクが比較的低く、流動性が高い特徴があります。
この市場での代表的な金利には、インターバンク市場の「コールレート」などがあります。
長期金融市場
長期金融市場は、1年以上の資金貸借が行われる場です。
株式市場や債券市場が含まれ、長期的な資金調達や投資のために利用されます。
これにより、長期間にわたって安定的に資金を確保できるというメリットがありますが、貸し手にとっては返済までのリスクも高まります。
3. 短期金利と長期金利の違い
次に、短期と長期に応じた金利について説明します。
短期金融市場と長期金融市場には、それぞれ異なる金利が適用されます。
短期金利
短期金利は、1年以内の資金貸借に適用される金利です。
たとえば、銀行間での翌日取引や企業が短期的に資金を調達する際に利用される金利が該当します。
短期金利は日銀の政策や金融機関の資金需要の影響を受けやすく、経済状況に応じて頻繁に変動します。
長期金利
長期金利は、1年以上の取引期間を持つ資金貸借に適用される金利で、特に10年物の日本国債の利回りが指標として使われます。
この利回りは市場の需給によって自動的に決定され、金融機関や投資家の将来の経済状況に対する期待や短期金利の動向も影響を与えます。
4. 日本の短期金利と長期金利の代表例
日本の金融市場には、短期金利と長期金利を示す代表的な例があります。
短期金利:コールレート
日本の短期金利市場の代表的な指標の一つが「無担保翌日物コールレート」です。
これは、金融機関が資金を相互に貸し借りする際の金利であり、特に1日単位の資金調達に使用されます。
この金利は、日銀の金融政策の影響を受けるため、金融政策の変化に応じて上下します。
長期金利:10年物国債の利回り
一方、日本の長期金利の代表的な指標には、「10年物日本国債の流通利回り」があります。
これは長期的な資金の貸し借りに適用される金利で、金融機関や投資家にとっては重要な指標です。
近年、日銀は「イールドカーブ・コントロール(YCC)」と呼ばれる政策を通じて、この長期金利の水準を一定に保とうとしています。
5. なぜ長期金利は短期金利よりも高いのか?
通常、長期金利は短期金利よりも高くなります。
これは、「リスクプレミアム」と呼ばれるものが関係しています。
リスクプレミアムとは?
リスクプレミアムとは、長期間にわたる貸し出しや投資において、将来の不確実性に対するリスクの補償としての利率の上乗せを指します。
具体的には、長期的な資金を貸し出すことで返済が不確実になるリスクが高まるため、貸し手はそのリスクを価格に反映させます。
供給側の視点
貸し手側は、資金を長期間貸し出す場合、返済を待つリスクを負わなければなりません。
そのため、通常より高い利息を求める傾向があります。
需要側の視点
一方で、借り手は資金を長期間にわたって使えるという利点があるため、必要であれば高い利息でも借りることを選択することが多いです。
このように、貸し手と借り手の双方の事情によって、通常、長期金利は短期金利よりも高く設定されます。
6. 日本の金融市場の金利の変遷と国際比較
2022年には、世界的に長期金利が上昇しましたが、日本は欧米(アメリカやドイツなど)と比べて低い長期金利を維持していました。
これは、日本の経済成長率が低く、デフレ経済が長期にわたって続いていることが一因と考えられます。
日本の経済成長率と長期金利の変遷
1970年代から1980年代にかけて、日本は高い経済成長を遂げており、その時期の長期金利も高水準でした。
しかし、1990年代のバブル経済の崩壊以降、長期的な経済成長が鈍化し、長期金利も下がり続けました。
1998年以降は長期金利が2%を超えることは稀で、金融機関では「2%の壁」とも呼ばれる状況が続きました。
2024年以降の日銀の金融政策と長期金利
日銀は、デフレからの脱却を目指しつつ、金融市場における金利の安定を図っています。
2024年には日銀の金融政策が見直され、長期金利も徐々に0〜1%の範囲で安定する見通しとなっています。
7. まとめ
本コラムでは、日本の金融市場における「短期」と「長期」の違い、そして短期金利と長期金利の基本的な違いについて詳しく説明しました。
短期と長期の金利の違いを理解することで、資産運用や相続における金利の重要性を知ることができます。
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