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お金の歴史:現代の通貨システムへの道筋

 本コラムのテーマは、「お金の歴史とその進化」についてです。
 特に初心者の方でも理解できるように、現在の通貨システムがどのように発展してきたか、その過程を詳しく説明し、最終的には、どのようにして現代の経済状況が影響を受けているのかを探っていきます。

 お金という概念が誕生してから、人類はさまざまな形で富を蓄え、管理し、交換してきました。
 その中で、通貨システムは大きな変化を遂げ、今日の私たちの生活に深く関わっています。
 本コラムでは、イギリスの金細工師が始めた「金保管サービス」から、現代のデジタル化された金融市場に至るまでの歴史を追い、そして私たちが直面している現在の経済状況にどのような影響を与えているのかを説明していきます。


イギリスの金細工師と金の保管サービス

 お金の歴史は、貨幣そのものの歴史と密接に関係しています。
 1650年代のイギリスでは、通貨として金や銀のコインが一般的に使われていました。
 しかし、金や銀のコインには大きな問題がありました。
 スペインの小説家、セルバンテスが「ドン・キホーテ」の中で次のような言葉を残しています。

「金があると厄介だが、ないともっと厄介だ。違いは、後者の場合はある程度のお金があれば困難が和らぐが、前者の場合は、持てば持つほど管理が難しくなる。」

 セルバンテスの言葉が示すように、当時の金や銀のコインは管理が非常に難しかったのです。
 それは、重くて持ち運びが不便であり、盗難のリスクも高かったからです。
 火事や盗難による被害が絶えず、人々は金を安全に保管する方法を模索していました。

 そんな中、イギリスの金細工師たちは「金の保管サービス」を始めました。
 商人たちは金細工師に金を預け、その代わりに「預かり証明書」を受け取るというものです。
 もちろん、金細工師はこの保管サービスに対して手数料を徴収しました。

 この「預かり証明書」は後に「ゴールドスミスノート」として知られるようになります。
 これは、金細工師が発行した一種の金の引き換え券でした。
 これが、紙幣としての最初の形態となり、後の通貨システムの基盤となります。


金細工師の発見と現代の銀行システムの始まり

 金細工師たちは、預けられた金が常に全ての商人に一度に引き出されることはないことに気付きました。
 これを利用して、彼らは預けられた金を担保にして他の商人に貸し出すサービスを開始しました。
 もちろん、貸し出しには利息が付きます。

 この「預けられた金を基に貸し出す」という手法は、現代の銀行システムの原型とも言えるでしょう。
 銀行は、預金者の資産を一部しか保有せず、その一部を他の人々に貸し出すことで利息を得ています。

 このようにして、お金が増える仕組みが始まりました。
 これは、国が借金をすることで始まります。
 政府は国債という借金の証書を発行し、それを銀行が購入します。銀行はその国債を中央銀行に売却し、中央銀行が通貨を印刷して支払います。
 こうして、市場に出回る通貨の量が増加し、経済が回り始めるのです。


金とドルの関係:ブレトンウッズ体制からニクソンショックまで

 元々、金は通貨そのものであり、通貨は金と交換できる証書として機能していました。
 このシステムは1944年のブレトンウッズ体制によって強化され、各国通貨はドルと、ドルは金と交換可能であるという仕組みが確立されました。

 しかし、1971年のニクソンショックにより、ドルと金の交換が停止されました。
 これにより、通貨の価値はもはや金の量に依存しなくなり、各国は自由に通貨を発行できるようになりました。
 その結果、インフレーションが促進され、通貨の価値が下がり、相対的に金の価値が上昇するという状況が生まれました。


パンデミック後のインフレーションと金利の上昇

 パンデミックの影響により、世界中の主要国は過剰な通貨供給を行いました。
 その結果、インフレーションが進行し、各国はインフレーションを抑制するために金利を引き上げました。

 特にアメリカでは、インフレーションが落ち着きつつあるものの、逆に経済の悪化が懸念されています。
 そのため、今後は金利が引き下げられる可能性が高くなっています。
 金利が下がると、お金を借りることが容易になり、リスク資産に資金が流れ込むことが期待されます。
 これは、株式市場にも影響を与え、株価が上昇する可能性がある一方で、経済状況によっては急激な下落も予想されます。

 また、金は安全資産として買われる可能性が高いと考えられています。
 特に、地政学的なリスクが高まる中で、金への需要がさらに増えることが予想されます。


地政学的リスクと金市場

 現在、世界の金市場では、インドや中国、ロシアなどの国々が積極的に金を購入しています。
 特に中国人民銀行は、大量の金と銀を購入しており、これはドル離れの動きの一環とされています。

 さらに、インドでは金の輸入関税が引き下げられ、これが金需要を促進する要因となっています。
 ロシアも、歴史的な水準まで金の準備高を積み増しています。

 このように、金は再び世界の金融市場で重要な役割を果たす資産となっており、多くの国々が金を買い増す動きを見せています。


円安と国際金融市場の動向

 2024年の国際金融市場では、日本円の急激な円安が注目されています。
 現在、円は1ドルあたり160円を超える水準まで下落しています。
 これは、日本の低金利とアメリカの高金利の差が原因となっています。

 日本は、9月に金利を引き下げる可能性が低いものの、12月には利下げが予想されています。
 円の過剰な売りが進む中で、国際金融市場では、ドル買いが続いています。

 今後、アメリカの金利政策によって、国際金融市場の動向が大きく左右されることが予想されます。


今後の見通しと資産形成のポイント

 金は引き続き注目される資産であり、特にリスク回避の資産としてその価値が高まる可能性があります。
 また、円高のリスクも視野に入れる必要があり、ドル建て資産を保有している場合は、為替変動に注意を払う必要があります。

 また、アメリカ株式市場では、特にAI関連銘柄のバブルに注意が必要です。
 短期的な調整が見込まれるものの、中長期的には日本株が大きく上昇する可能性があります。

 これらの状況を踏まえ、資産形成を再考する時期に来ているかもしれません。
 特に、円高のリスクを考慮した資産ポートフォリオの見直しが求められるでしょう。

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