現代の通貨制度や金融市場は複雑で、多くの方にとっては理解しにくいことが多いかもしれません。
しかし、その起源や発展の過程を振り返ることで、現代の経済状況や金融政策についてより深く理解することができます。
本コラムでは、通貨の歴史を振り返り、特に金(ゴールド)を中心にした通貨制度の変遷を追いながら、現代の財産管理や相続における重要なポイントについて解説してまいります。
通貨の始まり:金と銀の時代
通貨の歴史は、17世紀のイギリスから始まります。
当時の通貨は主に金貨や銀貨であり、これらが財産の象徴であり、価値の基準でした。
スペインの作家セルバンテスは、その時代の不安定な財産の本質を次のように表現しています。
「金は苦難をもたらすが、その欠如もまた同様だ。しかし、後者の場合、ある程度のお金があればその困難は和らぐ。一方、前者では、持てば持つほど、ますます増え続ける。」
金や銀は、価値がある一方で、扱いが非常に難しいものでした。
重くて持ち運びが不便であったり、盗難や火災といったリスクも常に伴いました。
金保管サービスの誕生
こうした問題を解決するため、17世紀のイギリスで「ゴールドスミス(金細工師)」と呼ばれる人々が、金貨の保管サービスを始めました。
商人たちは金細工師に金貨を預け、その証拠として預かり証が発行されました。
この預かり証は後に「ゴールドスミス・ノート」として知られるようになります。
さらに、金細工師たちは商人たちが一度に金貨を引き出さないことに気づきました。
そこで、預かった金貨の一部を他の商人に貸し出すというサービスを始めました。
これが、現代の銀行制度や通貨の発展に繋がる大きな一歩となりました。
現代通貨の仕組み:負債の上に成り立つ経済
現在の通貨制度は、当初の金貨や銀貨とは異なり、負債(デット)を基盤としています。
国は国債という形で負債を発行し、民間銀行がそれを引き受けます。
さらに、民間銀行が中央銀行にそれを売却し、中央銀行は新しい通貨を発行します。
この一連のプロセスによって、通貨は増加し、同時に負債も増えていく仕組みです。
金本位制から現在の通貨制度への移行
もともと、通貨は金と交換可能な証券でしたが、1944年のブレトン・ウッズ体制のもとで、金とドルの交換が行われるようになりました。
しかし、1971年のニクソンショックにより、ドルと金の交換が停止されました。
それ以降、金の量とは無関係に通貨が発行されるようになり、通貨の価値が下落する一方で、金の価値が相対的に上昇しました。
パンデミックによるインフレーションと金の役割
近年、世界的なパンデミックにより、多くの国で過剰な通貨供給が行われました。
その結果、インフレーションが進み、通貨の価値が下がりました。
これに対応して、各国は金利を引き上げ、インフレーションを抑制しようとしています。
特にアメリカでは、インフレーションが収束しつつありますが、経済が悪化し始めているため、将来的には金利が引き下げられると予測されています。
金利が下がると、資金がリスク資産に流れ込み、株式市場やその他の投資が活発化する可能性がありますが、同時に経済動向によっては株価が大きく下落するリスクもあります。
このような不安定な状況下で、金は「安全資産」として再び注目を集めることが予想されます。
地政学的な影響と金市場の動向
地政学的な要因も金市場に大きな影響を与えています。
例えば、インドでは輸入関税の引き下げが金需要を押し上げる要因となっており、ロシアでは金の備蓄が歴史的な高水準に達しています。
また、中国人民銀行は金を大量に購入しており、世界でも有数の銀の買い手となっています。
これに加え、多くの国がドルからの脱却を目指している動きが見られ、金の需要がさらに高まる可能性があります。
円の為替レートとその影響
最近では、日本円が1ドル=160円を超える水準まで下落しました。
これは、日米間の金利差が大きな要因となっています。
日本政府や金融機関は、外貨準備として大量の外債を保有しており、為替レートの変動が直接的に日本経済に影響を与える状況が続いています。
今後の展望と財産管理の必要性
2024年の国際金融市場は、特にアメリカの金利動向が大きな影響を与えると考えられています。
アメリカが金利を引き下げると、円高が進む可能性があり、日本の金融機関や個人投資家にとってリスクとなる可能性があります。
こうした状況下で、個人の財産管理や相続における計画はますます重要になってきます。
特に、外貨建て資産や金を保有している場合、その価値やリスクを正確に理解し、適切に管理することが求められます。
シャルル株式会社は、こうした複雑な財産管理や相続に関する専門的なアドバイスを提供し、お客様の財産を最大限に保護しながら、円滑な相続をサポートいたします。
まとめ
本コラムで取り上げたように、通貨の歴史や現代の金融市場の動向は非常に複雑であり、個人の財産や相続に大きな影響を与える可能性があります。
特に、為替レートや金市場の動向を注視しながら、リスク管理を行うことが重要です。
シャルル株式会社では、相続に関する幅広い知識と経験を活かし、個別の状況に応じた最適なアドバイスを提供しております。
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