遺言書が破棄されたり、変更されたりすることは、相続手続きにおいて重要な問題となります。
本コラムでは、遺言書の内容が変更された場合、例えば内容が加筆されたり削除されたりした場合に、どのような効果が生じるのかをわかりやすく解説いたします。
また、遺言の変更や破棄についての具体的なケースや注意点も紹介いたしますので、ぜひ参考にしてください。
1. 遺言の変更者の特定
遺言が変更された場合、特にその変更が亡くなった人(遺言者)が生存中に行われたものであるかどうかを確認することが重要です。
もし遺言書が亡くなった後に見つかった場合、誰が変更を加えたのかを特定することが必要です。
遺言書の変更者を特定するためには、以下の点を考慮する必要があります。
- 変更部分に遺言者の署名や押印があるか
- 遺言書の保管状態
- 遺言の内容
- 遺言者の生前の意向
しかし、実際には変更者を特定することが難しい場合も多いです。
本コラムでは、遺言者自身が自分の遺言書を意図的に変更した場合(自筆証書遺言)を前提に説明いたします。
2. 遺言の破棄
民法第1024条によれば、「遺言者がその遺言を故意に破棄した場合には、その破棄された部分については遺言を撤回したものとみなされる」とされています。
つまり、破棄された部分の遺言は無効となります。
遺言の「破棄」とは、遺言書自体を燃やしたり切り取ったりすることだけでなく、遺言書の内容を消去することも含まれます。
具体的には、遺言書の文字を消したり、無効とするために何らかの方法で変更を加えた場合も「破棄」と見なされます。
3. 遺言の変更
一方で、民法では遺言の変更について以下の条件を満たす場合にのみ有効とされています(民法第968条第3項)。
- 変更箇所の表示
- 変更が加えられた旨の補足説明
- 変更部分に署名
- 変更部分に押印
これらの要件が満たされない場合、その変更は無効とされ、変更前の遺言が有効と見なされます。
4. 遺言の破棄と変更の区別
遺言が削除された場合、たとえば、(1)元の文字が読み取れないほどに塗りつぶされた場合や、(2)一部だけが削除されて元の文字がまだ見える場合など、遺言が「破棄」されたのか「変更」されたのかを判断する必要があります。
この判断によって、遺言の有効性が決まります。
一般的には、元の文字が読める場合は「変更」とされ、変更部分の要件が満たされない限り、その部分は無効とされます。
一方、元の文字が読めない場合は「破棄」と見なされ、その部分の遺言は無効とされます。
5. 個別の状況に基づく判断の必要性
上記の4つのケースは一般的な考え方に基づくものですが、実際には様々な状況が考えられます。
そのため、遺言の変更や破棄については、個別の事情を考慮しながら判断することが重要です。
具体的な事例についても紹介いたします。
例えば、遺言者が赤いボールペンで遺言書全体に斜線を引いたが、元の文字が読める場合、最高裁判所はその行為が遺言書全体を無効にする意図であると見なしました。
このように、遺言者の意図を考慮して遺言書が「故意に破棄された」と認定されることもあります(最高裁判所、2015年11月20日)。
6. 遺言の変更に関する注意点
遺言を変更する際には、さまざまな状況に基づく慎重な判断が求められます。
そのため、遺言の変更方法を慎重に検討し、後々の紛争を避けることが重要です。
たとえば、元の遺言書を完全に破棄し、新たに公正証書遺言を作成することも一つの方法です。
遺言に関する問題は非常に複雑で、多くの注意点があります。
遺言の破棄や変更に関して疑問や不安がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。
シャルル株式会社は、遺言書に関する様々な問題に対応し、適切なアドバイスとサポートをご提供いたします。
本コラムが、遺言の破棄や変更に関する理解を深め、適切な対応を考える手助けになれば幸いです。
相続に関するお悩みがある方は、ぜひシャルル株式会社にご相談ください。
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