遺産相続の準備：パニックにならないために

　相続手続きは複雑で、多くの方にとって初めての経験となることが多いです。
　本コラムでは、相続についての基本的な知識と手続きの流れを分かりやすく解説いたします。
　これを読んで、相続に対する不安を解消し、適切な準備を進めるための一助としてください。
　また、相続手続きにおいて困ったことがあれば、ぜひシャルル株式会社人生相談所にご相談ください。

1. 相続人と相続の順序
2. 法定相続人の確認と相続順位
3. 相続の割合と相続の順序
4. 遺言の優先
5. 相続権の喪失
6. 戸籍謄本の必要性
7. 相続手続きの流れ
8. まとめ
9. お問い合わせフォーム

相続人と相続の順序

　相続とは、亡くなった人(被相続人)の財産を特定の関係にある人(相続人)が受け継ぐことを指します。
　相続手続きの第一歩は、相続人を確定することです。
　ここでは、法的に認められた相続人の順序とその確認方法について見ていきます。

法定相続人の確認と相続順位

　まず、配偶者は常に相続権を持ちます。
　ただし、ここでいう「配偶者」は法律上の配偶者を指し、事実婚や内縁関係のパートナーは含まれません。
　配偶者を除くと、法定相続人は3つの順位に分けられます。

第一順位：被相続人の直系卑属(子供)
第二順位：被相続人の直系尊属(親や祖父母)
第三順位：被相続人の兄弟姉妹

　この順位は民法によって定められています。
　例えば、子供がいない場合は親が相続人となり、親もいない場合は兄弟姉妹が相続人となります。
　また、子供がすでに亡くなっている場合、その子供(被相続人にとっての孫)が相続人となります。
　これを「代襲相続」と呼びます。

相続の割合と相続の順序

　法定相続人の間で相続分は以下のように定められています：

配偶者と子供がいる場合、配偶者が1/2、子供が1/2
配偶者と親がいる場合、配偶者が2/3、親が1/3
配偶者と兄弟姉妹がいる場合、配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4

　子供や兄弟姉妹が複数いる場合、それぞれの相続分は人数で按分されます。
　例えば、子供が2人いる場合、配偶者が1/2、子供2人はそれぞれ1/4ずつ相続します。

遺言の優先

　相続において、遺言が存在する場合、その内容が法定相続より優先されます。
　遺言には法定相続人以外の者が相続人として指定されることや、特定の法定相続人が全財産を相続することが記載されていることがあります。
　このような場合、遺言が法的に有効であれば、その内容に従って相続が行われます。

相続権の喪失

　相続権は法定相続人全員に認められていますが、以下のような場合には相続権を失うことがあります。

相続人が死亡している場合
詐欺や脅迫によって遺言の撤回、変更、取消しを試みた場合
遺言を破棄、隠匿、偽造した場合
被相続人を殺害しようとした場合

戸籍謄本の必要性

　相続手続きを進めるにあたり、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を取得する必要があります。
　これにより、法定相続人全員の確認を行います。
　戸籍には以下の4種類があります。

戸籍謄本(または全部事項証明書)：家族全員の戸籍が記載された証明書
戸籍抄本(または個人事項証明書)：戸籍の一部が記載された証明書
改製原戸籍：戸籍法改正やコンピュータ化以前の戸籍
除籍謄本：死亡や婚姻によって除籍された戸籍

　これらの戸籍謄本をすべて揃えることで、相続人全員を確認し、相続手続きを円滑に進めることができます。

相続手続きの流れ

死亡届の提出：被相続人が亡くなった後、7日以内に市区町村役場に死亡届を提出します。
遺言書の確認：遺言書が存在する場合、その内容を確認し、家庭裁判所で検認手続きを行います。
検認手続きが終わらないと、遺言書の内容を実行することはできません。
相続人の確定：戸籍謄本を取得して、法定相続人全員を確認します。
相続財産の調査：被相続人の財産や負債を調査し、相続財産を確定します。
相続放棄または限定承認の選択：相続財産に負債が多い場合、相続放棄や限定承認を検討します。
これらの手続きは、相続開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。
遺産分割協議：相続人全員で遺産の分割方法を協議し、合意が得られたら遺産分割協議書を作成します。
相続税の申告と納付：相続税が発生する場合、相続開始を知った時から10ヶ月以内に税務署に申告し、納付します。
相続財産の名義変更：不動産や預貯金などの名義変更手続きを行います。